Signature Life

雑記帳

勝てるチーム、地力ある会社

過去数週間、プライベートでも色々と忙しかったため、残念ながらラグビーのワールドカップをあまり観ることが出来ていない。
しかし先日の日本と南アフリカとの試合をテレビで観て、面白いなあと思った。

 

ラグビーは数ある集団競技のなかでも、より集団戦の要素が強い競技であるに違いないと感じた。そこがとても面白く感じた部分のひとつたった。
ちなみにその点で言えば、例えば野球は逆に、個人競技の要素が比較的強い集団競技であると言えると思う。ピッチャーとバッターが向き合うところからし個人競技だし(サインプレイはあるにせよ)、飛んできたボールをキャッチするのも基本的には個人競技であって、パス回しの類はあまり無い。

 

ぼくは昔は集団競技が嫌いだった。
集団競技が面白いと感じるようになったのは最近のことで、それは自分自身が小さくとも組織を率いる経験を過去数年間に得たことが大きく関係している。

自身が部下を持った経験が無い状態で見る上司や同僚や組織の姿と、部下を持つ経験を経たうえでのそれには、本質的な違いがあることを体感した。
それを体感するには「後輩」を指導した経験だけでは駄目で、あくまでも「部下」でなければならないと思う。

 

ラグビーでのラインアウトからのスローインや、スクラムやモールでの動きは、競技における集団戦の要素を最も強く感じさせるところであり、勝てるチームはそういった部分がやはり強いのだと思う。
ジワリジワリと押して行って、どんどん陣地を取っていく。
そういった部分を評して「地力がある」と言われるのだろうけど、これはビジネスにおいてもよく似ていることだと感じる。

 

個人の競技力は確かに大切で、チームの戦力とはおおよそメンバー各々の戦力の集合であることに疑いの余地はないのだが、しかしスキルの高い個人をただ寄せ集めただけでは、そのメンバーをもってして最大限に地力のあるチームとはならない。
ラグビーを観ていて、改めてそんなことを感じた。

 

ビジネスにおいて地力のあるチーム、すなわち勝てる会社というのは、戦略、人材配置の適材適所、上司も部下も同僚も含むチームメイト同士の信頼、裏方による支え、といった要素が綺麗に編み上げられた姿を持っている。

チームメンバー各々が持つ力を正の方向に掛け算するのが、地力を生み出すために必要なことであり、それはチームメンバーひとりひとりに課された試練でもあるけれど、その点で圧倒的に一番大きな責任と技量が問われるのはチームのキャプテンでありヘッドコーチである。

 

足が速いやつと、背が高いやつと、体重の重いやつを連れてきてチームを作っても、それだけで勝てるラグビーが出来るとは限らないだろう。


ビジネスにおいても、単にチームの誰かの頭が良いとか、話が上手いとか、仕事が速いとか、そういった個人プレイは確かに勝ちに近づく要素ではあるものの、それらの足し算だけでは決して地力には繋がらない。

 

とはいえ、個人プレイを否定するものでは無い。
戦いの局地戦の、最後の紙一重のところで伸るか反るかを分けるのは、往々にして個人プレイの技量の差だったりもする。ビジネスにおいても然り。

 

高い技量を持つ個人を、適材適所に配置しつつ、チーム内の信頼関係を構築する。
言葉にすれば歯が浮きそうな、この当たり前を、いかに当たり前に作り上げられるか。実はそれこそが、勝てるチームの王道なんだろうなと、ラグビーのワールドカップを見ながらふと、そんなことを考えた。

 

いつの日か、そう遠くない将来、そんなチームを作り上げたい。

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